エンジンオイルの
粘度って何?
愛車に合った
オイル選びに
役立つ
ヒント
更新日:2022年8月31日
たくさんの種類がそろっているエンジンオイル。どれを選んだらいいか迷ったときにまず注目したい「粘度」を中心に、今回はエンジンオイルを選ぶ際に知っておきたいオイルの基礎知識をご紹介します。
エンジンオイルの粘度とは?
粘度とは、液体の粘りの度合いのことで、ドロドロの状態を「粘度が高い」、サラサラの状態を「粘度が低い」と言います。エンジンオイルには、車種や環境に対応するため、様々な粘度が設定されています。
また、粘度は温度によって大きく変化するという特徴があります。通常、オイルが高温だと粘度は下がってサラサラになり、オイルが低温だと粘度が上がってドロドロになります。したがって、エンジンオイルの粘度は、特定の温度で粘度を測定し、基準を定めて運用されています。
エンジンオイル粘度の見方
エンジンオイルは、SAE(Society of Automotive Engineers:アメリカ自動車技術者協会)で制定した粘度グレードが使用されています。
SAEのエンジンオイル粘度グレードは、下図の通り、Wが付いた低温粘度と、高温粘度があり、いずれも数字で表示されます。どちらも数字が大きくなるほど粘度が高くなります。
Winter(冬)の頭文字であるWが付いている数字は、低温粘度、つまりオイルの温度が低いときの粘度を表します。0W~25Wまで6つのグレードがあります。
一方、Wが付いていない数字は、高温粘度、すなわちオイルの温度が高いときの粘度を表します。8~60まで8つのグレードがあります。(2022年現在)
エンジンオイル粘度グレード
粘度による特徴の違い
直前の章で説明した通り、エンジンオイルの粘度は低温時と高温時のグレードが定められており、それぞれ粘度の高さによって特徴に違いがあります。
低温粘度
エンジンの始動から暖まっていく過程のエンジンパフォーマンスに影響を与えます。粘度が低いほど、低温時のエンジンの始動性がよく、エンジンオイルが暖まっていない状態(冬場の暖機運転など)での走行時における燃費向上にもつながります。
高温粘度
エンジンが暖まった状態のエンジンパフォーマンスに影響を与えます。日常ではエンジンオイルが暖まった状態での走行が多いため、高温粘度が低いほど燃費性能が向上します。逆に、高温粘度が高いと燃費は悪化しますが、油膜が厚くなることで潤滑性能が向上し、エンジン保護性能が高くなります。
これらの低温粘度と高温粘度の組み合わせにより、性能に違いが生まれます。
車にあった粘度の選び方
まず基本的には、エンジンの性能や状態を良好に保つには、自動車メーカーが推奨しているエンジンオイルの粘度を選ぶことが最適であると考えてよいでしょう。メーカーが推奨している粘度は、車の取扱説明書(ユーザーマニュアル)などで確認できます。
車の取扱説明書を見てみると、さまざまな粘度が記載されています。そのうち《推奨》などと書かれている粘度は、新車時に工場充填されているオイルであり、車に最適な性能を発揮できます。近年の国産車の傾向は、燃費性能を向上させるため、ほとんどの車種で低粘度の0W-20や0W-16など、省燃費オイルを推奨する車種が多くなってきています。
メーカー推奨の粘度以外を
選んだらどうなる?
最近の車には、0W-8や0W-16という粘度が指定されていることが多いですが、それよりも粘度が高いオイルである5W-30や10W-30を入れたらどうなるのでしょうか。
答えは、「燃費の悪化」につながります。
車の取扱説明書などに《推奨》ではなく、《適合》などと書かれている粘度のエンジンオイルを使用した場合、「エンジンは壊れることなく動くが、燃費は悪くなってしまう」ということなのです。
ここで特に注意すべき点は、メーカーが指定した粘度より低いエンジンオイルは使用してはいけないこと。 エンジントラブルの原因となりますので、車の取扱説明書でメーカー指定のオイル粘度を確認することが大切です。
粘度以外の選び方
エンジンオイルの選び方には粘度の他にも知っておきたいポイントがあります。ここでは「規格」と「ベースオイルの種類」という2つのポイントを紹介します。
粘度以外の選び方①:
規格
エンジンオイルは、性能や品質を表すために統一の規格が使用されています。現在世界中で最も有名なエンジンオイルの規格は、API規格です。API(アメリカ石油協会)が中心となり策定したものです。
API規格はアルファベット2文字で表記されます。1文字目は、ガソリンエンジン用オイルが「S」、ディーゼルエンジン用オイルは「C」となっています。2文字目は規格の等級を示すもので、アルファベット順に新しい規格が追加され、より高性能なオイルに発展してきました。
ガソリンエンジンオイル用で現在市場に流通している商品は、SM、SN、SPなどが中心ですが、そのうちSP規格は、2020年に発効した最新の規格であり、最も品質に優れています。
API規格に適合したオイルは、このドーナツマークが製品パッケージに付けられています。
APIを表すドーナツマーク
また、ガソリンエンジンオイル用の規格として、近年重要視されているのは、ILSAC規格です。これは環境対策、省燃費を主な目的とした規格で、日本とアメリカの自動車工業会により策定されました。
ILSAC規格に適合する為には、API規格に適合した上で、さらに厳しい省燃費性能などをクリアすることが必要となります。最新のILSAC規格は、GF-6A/GF-6Bで、スターバーストマーク(0W-20以上)またはシールドマーク(0W-16の場合)が表示されます。
スターバーストマーク
シールドマーク
エンジンオイルの性能表示を見る場合には、API規格だけでなく、ILSAC規格もぜひチェックしてみましょう。
粘度以外の選び方②:
ベースオイルの種類
エンジンオイルの成分の約80%を構成するのがベースオイル。ベースオイルがエンジンオイルの基本性能を決め、添加剤はエンジンオイルに必要とされる性能(耐摩耗剤、酸化防止剤など)を補い、強化します。
ベースオイルは、製造方法の違いにより、合成油と鉱物油の大きく2つに分かれます。そして、この2つをブレンドしたものが部分合成油です。性能は、合成油が最も高く、次いで部分合成油、鉱物油の順となります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
① 合成油(化学合成油/全合成油)
合成油は、ベースオイルとして理想的な性能を備えるように、高度に精製された高純度のエンジンオイルで、不純物を含まないため、添加剤の性能を存分に発揮させることができるなど、数々の優れた特徴を備えています。そのうち代表的な3つをご紹介します。
- 熱に強く、酸化しにくい(酸化安定性に優れる)
- 熱による構造変化が少なく、酸素とも結合しにくい分子構造となっているため、上記の特徴を持っています。
- 寒さに強い(低温流動性に優れる)
- 鉱物油は低温時に固まる原因となるワックス分を含んでいますが、合成油は含まないため、低温時でも流動性を保つことができます。このことから、冬場のエンジン始動時のドライスタートを防ぎます。
- 潤滑性に優れ、圧力に強い
- オイルの粒が一定の大きさで均一な配列であることにより、内部の摩擦によるエネルギーロスが少なくなり、潤滑性に優れています。これは燃費性能の向上にもつながります。また、均質な構造により強い油膜が形成されるため、部品摩耗の防止につながります。
② 部分合成油(一部合成油)
合成油と鉱物油をブレンドした部分合成油は、合成油の性能と、鉱物油のコストメリットをバランスよく両立させたもので、鉱物油よりもワンランク上の商品として販売されているケースが多く見られます。
③ 鉱物油
低コストで大量生産が可能なため、価格帯はもっともリーズナブル。しかし成分に不純物を含むため、合成油と比較すると性能的に劣る部分もあります。化学合成油や部分合成油と比べて耐熱性に弱く酸化しやすいのが特徴ですが、こまめにエンジンオイル交換することで問題なく使用できます。
ただし近年のトレンドとしては、ハイブリッド車や排気量のダウンサイジングに伴うターボ車の増加など、エンジンオイルの使用環境がシビアになってきているため、合成油の使用がより好ましい状況になってきています。
まとめ
エンジンオイルは消耗品ですので必ず交換時期は訪れます。せっかく交換するなら、今乗っている車にぴったりと合う適切なエンジンオイルを選びたいものです。今回ご紹介したエンジンオイルの知識を踏まえて、ぜひ自分の車にとってベストなエンジンオイル選びをしていきましょう。
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またオイル交換費用は、排気量別に、オイル代+作業工賃がセットになった一律料金。オイルの量り売りや缶オイルを購入した場合は、オイルが余って無駄になることや、不足した場合はオイルの追加料金が必要になりますが、排気量別に価格が決まっているので無駄がなくリーズナブルで分かりやすい料金体系です。会員登録(入会費・年会費無料)するだけで、お得な会員価格でご利用可能です。また事前にWEB予約をしておくと、待ち時間がなくスムーズです。
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よくある質問
エンジンオイルの粘度とは?
- エンジンオイルの粘り(サラサラ、ドロドロ)の度合いを示す指標のこと。エンジンオイルには、車種や環境に対応するため、様々な粘度が設定されています。
粘度はどこを見たらわかる?
- 「5W-30」のようにアルファベットと数字で表記されています。前半の数字は低温時の粘度、後半の数字は高温時の粘度を表しています。
粘度が違うと何が変わるの?
- 低温時の粘度が低いほど、やわらかく、エンジンの始動性がよく、ドライスタートの防止に繋がります。一方で、高温時は粘度が低いほど、燃費性能が向上します。粘度が高いとエンジン保護性能が高くなります。
オイル選びに粘度以外の基準はある?
- 「規格」と「ベースオイルの種類」がエンジンオイルを選ぶ際に注目したいポイント。API規格やILSAC規格をチェックしましょう。ベースオイルは、全合成油(化学合成油/全合成油)、部分合成油(一部合成油)、鉱物油の3つがあります。
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この記事を執筆・監修した人
鈴木珠美(Suzuki Tamami)
カーライフアドバイザー&ゆるトレ講師。車専門誌、女性誌の編集者を経て、車のある暮らしにまつわる企画・編集・執筆。また運転疲れを軽減し、安全運転へ導くストレッチの監修も行う。女性の車生活を応援する「beecar(ビーカー)」編集長。その他、ワークショップの開催、TV・ラジオ出演等
※2022年8月31日時点の情報に基づいた内容です